高松高等裁判所 昭和32年(く)3号 判決
〔抄録〕
然るところ刑事訴訟法第二百六十二条第一項によれば告訴又は告発をした者は検察官の公訴を提起しない処分に不服があるときは、事件を裁判所の審判に付することを請求することができる旨定められ、この請求を為し得る者は告訴又は告発をした者に限定せられておるのであるから(もとより代理人による請求を妨げる趣旨ではない)告訴人又は告発人の相続人の如きは本条による請求を為し得ないものといわなければならない。然るに本件は武井友之介の為した告訴に対する不起訴処分を不服として同人の死亡後にその長男及び次男である抗告人等から請求されたものであることは前段認定の通りであるから、同人等からの本件請求は不適法である。なお友之介のした告訴については抗告人武井利広が父友之介の意を受け検察庁に出頭して事実上、告訴事実につき補充的陳述をしたり告訴人に代り検察庁に事件の成行を聞き合したりしていたことは検察官中田慎一作成にかかる昭和三十二年九月十一日附報告書によつて認められるけれども、左様なことをしていたからといつて武井利広に本条の請求ができるものとも解されないから、本件請求は原決定の説示した期間の点についての判断を俟つまでもなく既に失当である。
(裁判長判事 塩田宇三郎 判事 渡辺進 判事 合田得太郎)